2007年11月9日金曜日

25円の使い道

ガソリン税の内の25円について、来年以降の使途についての議論が盛んになってきましたが、
1)従来通り、道路建設に使う
2)撤廃して、ガソリン価格の高騰への救いとする
くらいの所で、議論が推移している様に聞こえるのですが、、、.。
 
日本が発信基地となった「京都議定書」。 参加国が限られていたとしても、言い出しっぺが守れなければ、参加しなかった国にも、言い訳の口実を与えてしまう結果となりますし、折角の日本のイニシアティブが水泡に消えてしまいます。 (政治家は、現状についてそのような危機感を持っているのだろうか、お家騒動にうつつを抜かしている昨今の政治家には愛想が尽きるが)

運転を職業としている人たちには申し訳ありませんが、この際、この財源を化石燃料からの脱却を促進するための資金に当てるようにしたらどうでしょうか? BRICSとそれに続く国々の化石燃料への需要はこれからも増大するでしょうから、投機資金の一時的な相場の押し上げだけの影響ではなく、将来にわたって、原油価格が(今ほど急激でないとしても)上がってゆくことは、当然考えられることだと思います。 従って、脱化石燃料は長期的な視点から、環境の観点のみならず非常に重要な課題ではないでしょうか?

来年のサミットでも議題になるのでしょうから、日本として大きな財源をこの分野に向けることは非常に重要なアッピールでもあるし、また経済の長期的な活性化(自動車産業の新しい技術への誘導、バイオ燃料・資源を通しての環境保全と農業の再活性化、ゴミ処理などの技術革新と再利用の推進、及びこれらの技術の国外供与による日本の国際的・経済的地位の向上など)にも役立つはずですし、レバレッジ効果の最も大きな使い道だと思うのですが、、、。 

何故この程度のことを誰も言わないのだろうか、、、

2007年10月31日水曜日

農業規模拡大の問題点

先日、大規模農家の話を聞くことができたので、気がついたことを何点かメモしておきます。

 1)個人農家として30Ha位までは効率が上がるが、100Haになって大規模法人化してしまうと却ってコストがかかり利益が出なくなるケースがある。 (これは、工作機械の運搬用の車が必要、とか場所が拡散してしまい移動時間が占める割合が大きくなる、付帯設備への投資が必要になる等の要因)

 2)場所により、収量に480Kgから660Kg位までの差があるが、収量の多いところが「うまいコメ」が取れるところではない。

 3)田植え機、収穫機、苗作りのための施設、収穫物の貯蔵用低温倉庫等、兎に角売上と関係のないところで投資を必要としており、金がかかる。 (水稲はキャッシュフローが悪いために、その回収にも時間がかかる=コストがかかる)

 4)規模拡大をしても、市場では「お小遣い稼ぎ」の兼業農家と価格競争を強いられるので、結果として自立出来るようにするのには努力が要るし、今の助成金の体系ではこの傾向がますます強くなることが考えられる。(専業農家が却って不利になる?)

 5)裏作に菜種を提案して興味を持っていただいたが、殆どが早生の栽培(それも、うまくもないコシヒカリ)で、晩稲の栽培が行われておらず、水管理の面から検討が必要(一定の時期に取水門を閉鎖してしまう)。 ->唯、皆さんコシヒカリという名前では金を稼げない事を理解しておられるようなので、もうそろそろ、もっと多くの品種がバラバラと作られるようになるのではないでしょうか。 「日本晴」復活待望論もきいたことがありますが、、、。

 6)農協とその他と出荷を並行して行っている。 また、カントリーエレベータは殆ど使われていない。これは、農協の方が自分でやるよりもコストが高いことによる。 また、薄播きをした独自の育苗箱を使っていたが(病害を防ぐため)、これは農協からの購入が出来ないとの事、理由として育苗箱の枚数が増えすぎて対応できないから、との事であった。

 7)元の組合長との話も出来たが(この人は畑作農家)、組合長の当時(数年前?)何度も農家組合などを作って稲作の集約を図らないと生きてゆけない事を訴えてきたが、何も動かなかった。 それぞれのエゴと「何とかなる」「現状を変えることへの抵抗」等、思っている以上に農家の保守性と抵抗は大きいものと思われる(具体的にどうなるのか、いろいろなケースを作って示す必要があった?)

 8)田の区画がまだ小さ過ぎるし、受託したところがいかに隣接しているのかで、作業効率が大きく違ってしまう。 1Ha区画であっても、中に仕切りがあって3反以下の区画のところが多い。

 9)コシヒカリを始め、早生の優良品種は多いが晩稲の高品質米ってあるのだろうか?

 結論として、新規参入は「趣味の栽培」以外では、設備投資の大きなハンディを負う事になり、絶対に不利になる。 地域の営農指導が「栽培技術指導」(それも、分かっている事の追試ばかり)に終始しており、持っている土地を最大限有効利用して収入を最大化する為にはどうしたら良いのか、経営規模はどのくらい必要なのか、など農家の所得を最大化する為の本来の意味での「営農指導」になっていない事に問題がある。
収入を農業に依存している場合、Try&Errorは生活そのものを脅かしてしまうので、農協の圃場、県の試験場の圃場等での一定の検証試験が必要なのにそのようなことは行われていない。 また、小規模に他の作物を作ったとしても、その販売先や、水管理の協調性の問題など、単純には実験さえもできない状態にある。

 また、大規模化を考える場合、15~20Haの個人農家を10軒程度株式会社化して、その持ち株会社として、資材の購入、生産物の販売、人材の派遣、経理事務の集約を行う会社を設立して、既存の施設、設備を利用しながら、全体の効率を上げてゆくような工夫が必要であると考えられる。 (これって、本来の農協の姿なのでしょうが、肥大化しすぎた今の農協組織にはそのような力は残念ながら期待できないのでしょうね) 
規模拡大による設備投資負担が大きいことから、いきなり大規模化を図ることは命取りになりかねず、必ずしもあるべき方向性とは言えない。

可能性としての、エタノール用のイネの栽培(1000Kg/10a以上)でしかも稲藁もまとめてアルコール原料として処理できる施設(収穫物ー藁も含めー40~50円/Kg)と、菜種の栽培の組み合わせで、20-30Ha位あれば、既存の農家であれば自立できるのではないだろうか?(平場での話)  この場合、水稲の受粉の仕組みから考えて水稲に限っては遺伝子組み換えのラウンドアップ耐性稲で、湛水直播というのも可能性はあるのではないだろうか、、、 菜種のラウンドアップレディは存在するのだろうが、交配のメカニズムと蜜蜂の兼ね合いから、そう簡単には許可が下りないだろう、、、。

ところで、工業アルコール用の水稲や燃料用の菜種油を生産する場合、その栽培を管理する省庁は、やっぱり農水省?それとも経産省?

2007年10月21日日曜日

NHK日本のこれから「どうする?私たちの主食」について

全体的には、一人の意味不明な発言を除けば、夫々の賛成反対に関わらず、「何とかしなければいけない」という危機感を持っているように感じられました。 その方法の考え方によって、賛成反対は分かれていたように思いますが、「総ての人が、日本の農業が無くなってしまう事のないように、何らかの方法で農業の再活性化を図って欲しい」と願っていることを感じたような気がして、心強く思いました。
そのような観点で、過去30年間を振り返って(多分その前も同じだったのでしょうが)みると、「ビジョンの欠如した農政」こそが最大の問題であったし、今も問題なのではないでしょうか? 農家の疲弊、満蒙開拓、大東亜戦争への突入にしても、やはり根底には農業政策の失敗があったと信じている私には、「何の反省もなく、同じ付焼刃的な事を繰り返している、農政こそが最大の問題」だと思われてなりません。
輸入食料についての考え方も、輸出国は経済合理性のみで日本向け米を生産していることを考えれば、いつまで日本がこの経済優位性を保てるのか疑問です。 中国を考えれば、経済成長率は毎年8%で既にGDPは日本を超えていますし、日本人の所得を超えている人たちが日本人と同じくらいいることを考えれば、黒竜江省のコメが日本に向かわなくなるのは時間の問題かもしれません。  カリフォルニアについても、オーストラリアについても同じことが言えますし、この二つの国は水の供給から言えば、米の生産は必ずしも経済合理性が高いとは言えない国々でもあります。 輸入食料を考える場合には、そのような輸出国としての視点で日本を見ることも必要ではなかったかと思います。
政府の助成金政策が、ばら撒きの結果で終わったことを北海道の100町部農家がいみじくも示していました。 北海道空知地区の水田規模は非常に大きく、また天候にも左右され易いのですが、最初から水稲を作っていたら貰えない転作奨励金が、水稲から北海道農業の本来の姿である大豆等に転換することにより貰えるし、その基準が本州をベースに作られている助成金システムでは、それだけでぼろ儲けする農家が出てきてしまします。 申し訳ありませんが、私の知っている限り、北海道でも、空知地区の水稲農家の評価が必ずしも好ましいものではない事を、私自身体験しています。

いくつかの問題点が残されていたと思いますが、幾つかの素晴らしい解決可能問題の指摘もあったように思います。 
  朝食のご飯問題:確かに和食にしようとすると時間がかかる。 しかし、これは食品産業に新たなビジネスチャンスを与える指摘でもあった。 (10分で出来る朝食パックが、適当な価格で提供されたら?)
  助成金・補助金の問題:地域の状況を考えずに、面積当たり一律には問題があることははっきりしている。 今後、このような視点が加味されることが必要。
  大規模化の問題: 大規模化が可能なのは平坦地だけで、多分水田全体の三分の一程度でしょうから、大規模化によって生き残れる農業と、そうではない農業とをわけて考え、夫々に対策を考える必要がある。
  地産地消:流通コストにメスが入れらていない以上、非常に有意義な方法で、多くの地域すぐに適用できる方法だと思いました。 例えば、米でも、玄米貯蔵で、注文の度に精米して配達すれば、味覚的にはかなり改善されるでしょうし、地産地消であればそれは十分可能なのではないでしょうか。
  農業の役割:合意されるような明確な物がなかったように思います。 やはり、国民が全体として合意できるような日本の農業の役割を明確にすることが必要ではないでしょうか? ただ、地域文化を守るため、とか、米食は健康に良いとか、情緒的な話で終始してもらっては困りますが、、、。 環境保全についても、「緑を守る」といった、情緒的な話も説得力があるとは思えません。 また、農産物の工業原料的側面について何ら言及されていなかったのは、国内の生産が高コストで箸にも棒にもかからない状態だとの先入観からでしょうか? 工業原料としての農産物の視点は、食料の供給に苦労してきた歴史を持つ日本人にとっては、些か捉えにくいのかもしれませんが、先進国がそのように動いている以上、わが国だけが無関係ではいられませんので、早くそのような視点の議論もされるべきです。

議論全体から受けた印象をベースに私なりに、今後どうするべきかを考えてみると;
 1)国として、日本の農業の役割を明確にし、国民のコンセンサスを取る。
 2)そのコンセンサスに基づき、必要な政策を農水省が打ち出し、国会承認のもとに実施する。
 3)平坦地の農地と、中山間地の農地は自ずと役割も違うので、その政策には差があることを国民、農家が納得をし、受け入れる必要がある。

ということに尽きるのではないでしょうか。

「故郷納税」等という個々人の善意に頼るのではなく、合理的な計算根拠の元に、地方に税金が配分されれば、誰も文句は言わないのではないでしょうか? 例えば、都市部でのCO2排出は、地方での農地、林地で吸収されているわけですから、市町村毎の二酸化炭素排出量を計算して、日本の平均値より多いところから、少ない所へ配分されるようにすることに文句を言う人はいないのでは? 勿論、その上で更に夫々が努力する必要はありますが、都市部は「少しでも払わなくて済むようにする」ためであり、地方は「少しでも多く貰うため」ですが、そのような競争が始まれば、環境対策は大幅にその進捗が早まるのではないでしょうか?  また、大企業についても、外国から排出権を全量買うのではなく、30%は国内から購入しなければならないような規制をかけることにより、更に環境対策の促進を促すことになると思います。 そして、そのような資金源を得た地方が、農地や森林の保全に資金を供給することにより、地域の活性化と国土保全がなされることこそが、21世紀の日本のあるべき姿ではないでしょうか?

2007年10月19日金曜日

NHK の地球発!どうする日本「食と農業をつないでゆくには」

NHKは最近集中的に農業問題を取り上げていますね。 これで、明日はどのような方向の話になるのか楽しみですが、今日の分の感想を纏めておきます。

前回が「かなり悲観的な内容」だったのが、今日は一変して、「そこにはまだビジネスチャンスがある。苦しいのは、別に農業だけじゃない」という根底の流れがあったように感じました。 (前回の番組から、政府辺りから批判が出て、急遽作った番組か?と勘繰りたくなるくらいにトーンが違っていましたね。)
私の感じる所を幾つか;
1) 団塊世代の退職者を狙った就農政策は、問題を良くて10年先送りするだけで、真の農業問題の解決にはならない。 小規模、高コスト農業が団塊世代が本当に働けなくなる後10年程先送りされるだけで、その後には老齢者さえ、人口が減っているのだから。
2) 高価格を地元が受け入れるような農業も、いつまで維持ができるのか、極めて疑問で下手をすると、地域のすべてが落ち込むことになりかねない。
3) IT化、企業化(コスト意識)、マニュアル化、自らの需要者へ直接販売する、後継者の育成等が本来の進むべき道で、そのような活動をしている例が紹介されたことは、素晴らしいことだと思う。 残念な事に、水稲と野菜果樹では、生き残りのための必要条件が違うが、その点がまぜこぜになってしまっていた。
4) 収益の安定化とROAの最大化のために、もっと単作ではない栽培体系を真剣に考えてゆくべきだ、と痛感した(北海道はこの点非常に不利になるが、地球温暖化で、他の地域でも今まで以上に余地があるものと思われる。)
5)ついでに農水の資料を見ると、登熟期に高温に当たり品質低下を招いている水田がかなり見られるようなので、栽培体系についても地域により見直す必要があると思われるが、地域の農業試験場にはこのような方向性を強くサポートする心意気があるのだろうか、危惧される。(農業の不振が、農業研究など周辺に及ぼしてきた影響について、看過されているが、非常に大きいと思う。特に、この30年間で世代も入れ替われ、昭和30年代の農業振興に努力してきた人の影響が無くなってしまった近年は、基本的な事さえ知らない研究者が増えているように思われる。)

2007年10月16日火曜日

NHK のライスショック

日曜、月曜と放送されましたが、私には「漠然と米作が危機に立たされている事」は分かっても、その具体的な内容については理解できませんでした。  なぜ農業問題の放送って、情緒的な話に終始するのでしょう?
 以下、問題点;
  1)米の価格が「玄米」の価格と精米の販売価格が区別されずに述べられている。
    米の流通価格について、夫々のステップ毎に価格がどうなっているのか、示す必要があるのでは?

  2)「これではやっていけない」との声を、そのまま流しているが、その経費の内訳が示されていないので、「そんなものかな」以上になっていない。
    何にどの位の経費を使っているのか?細かく示して、それに対しての収入がどの位になるのか出してみれば、私のラフな試算では50Haの水田を3-4人で経営するところが損益分岐点になってしまいます。 そして、農業機械の減価償却、租税等が大きな負担になっていることがわかります。  また、農薬、肥料など変動費も流通コストを見直すことにより20%位の価格低減を図ることができるはずです。

全体に、「大変だ、大変だ。 あなたはどう対応する」といった危機感を煽るような内容ではありましたが、問題の本質をえぐり出すような内容ではなかった、と思います。
  農家の生産規模とか、農家の努力ばかりを求める内容になりがちですが、産地偽装をはじめ、農産物に関わる流通(生産資材を含めて)は必ずしも合理化されているとは言えず、農業問題を議論する時には流通についてももっと詳細にメスが入れられるべきです。 特に、農協離れをしている専業農家が増えている事からわかるように、助成金漬けの農業で培われてきた農協流通が全体のコストを上昇させている事実ははっきり示されるべきです。(農業をやらずに農家の子弟が農協に努めて、給与をもらっているケースが多いので、コストの高い農協の営業は子弟へのお小遣い的な意味合いがあるのかもしれませんが、このような事を認めていたら、農業が死んでしまいます。)

もう何点か考えてほしかったのは;

1)為替レートや経済成長により農産物の輸入は変動する。
  (現状が維持される保証が、想像しているよりは遙かに小さい、という事実)
  今の勢いで経済成長すれば、中国は10年で、日本に輸出する必要はなくなる? (日本海を渡れば、新潟の方が近いが、北京・上海に同様の値段で売れるのであれば、ブランド確立のために一時的に日本に輸出しても、その後は国内向けが主となる可能性の方が高い)

  米国も、為替レートが150円以上に下がれば、別の作物に転換する可能性がある(ストックトン、サクラメント辺りは、比較的湿地帯なので米の生産に適しているが、ロッキー山脈からの水を利用しているので、同じ水を利用している都市部との水の競合から、水を多く必要とする水田は必ずしも歓迎されている存在ではなく、利益性から、果樹などへの転換があり得るし、バイオエタノール等の為の小麦・キャノーラへの転換も考えられる。)

2)農業廃棄物の利用など、新しい局面への展開
  米単作農家が生計を立てるのには、かなりの大規模化が必要です。 裏作作物が本当にないのか、米以外も作ることにより、収入の安定化を図る方法はないのか、本来の営農指導がもっと積極的に行われるべきです。(営農指導と呼ばれているのは、ほとんどが生産技術指導に終始している現実は認識すべきです)。
  特に、農業廃棄物(稲藁)からのバイオエタノールの抽出などの技術は、もっと積極的な投資で早急に開発すべきです。 結果としての環境対策、地域の産業振興と、農家・農業の保護が図れるからです(バイオエタノールを生産するために拠点に稲藁を運ぶのは愚かな考えです。小さなエタノールプラントが多数必要ですし、出来ればガソリンとの混合もその地域で賄われるべきで、その意味での産業振興)。 なぜ、農水はここに注力しない? 農水では出来ないので、政府の省庁横断特別タスクフォースか?
  コメのたんぱく質でアレルギーを起こす人もいますが、一方、「抗がん物質が含まれている」ということも言われています。 農産物をそのまま食すことばかりではなく、このようなファインケミカルの原料としての開発も積極的に行われるべきでは? (これは農水?)

3)ブランド戦略の誤り
   「世界中でコシヒカリが作られている!」 いったい誰が許可したの? コシヒカリは誰のもの?(国の所有するブランド、品種)  国家戦略として、まったく誤ってはいませんか? 日本の商社が外へ持ち出したとしても、それに対して高いロイヤリティを課していれば、こんな問題にはならなかった。 そう、国内では自由に使えるが、国外での生産については高いロイヤルティを要求することは、血税を使って育種された品種である以上、正当な行為であるし、WTOにも抵触することはないと思いますが、、、。

4)そもそも生産性が低すぎる
   育種が、本来の目的の安定生産、多収量から逸脱して、高付加価値、収量はどうでもいい、になって30年以上、一反当たりの収量は「日本晴れ」の10俵から「コシヒカリ」の6-7俵に下がっています。 これだけでも生産性は30-40%低下しているのですから、経済原則に則ればやってられなくなるのは当たり前です。 一体、農政は何をやってきたのか?

2007年9月16日日曜日

次の首相?

参議院選挙で、とうとう小沢一郎の化けの皮が剥がれて、「ばらまき農業政策への回帰」が勝因の一つのように言われていますが、今までもずーっとやってきてうまくゆかなかった事が、何故今になって、民主党がやるとうまく行くのでしょうか?

 生産者米価は160円・Kg前後ですから、将来を考えて100円・Kgで考えてみましょう。
 平均反収は450Kg位(コシヒカリで)。 500Kg位まで出来ると仮定すると。
100 X 500 = 50,000 円/10a  
          500,000 円/Ha
50,000,000 円/100ha
年収1000万円を目指すとすると、20Haは必要。 それも、米以外の物も収入として確保しないと、維持費が出ない状態となります。  100Haの農業法人であっても、4-5人で運営して、それも、米以外にも生産し、コメへの100%依存を回避してゆく必要があります。 (これは、普通の企業としての年金とか健康保険のことは考えていませんので、1000万円の収入から支払われるものとなり、サラリーマンの1000万円よりも少ないことになりますが、、、)。
  バイオエタノールの原料として、稲藁30円・Kgで売れたとすれば、馬鹿にならない収入と見なせます。 場所によって違うでしょうが、10-3月までの間に収入が図れる作物を探して、収入源とすることも重要でしょう。

  これが、農業の現実であり(農家直販など流通のことを別にすれば)、個別の農家保障がどこまでのコストを肩代わりすることを考えているのかは知りませんが、米単作の小規模農家では、収入の大半を補助してもらわなければならない(都会並みの収入を得ることは到底不可能)である事実は事実です。 これが、若い人たちの農業離れの後押しをしていることは事実だと思いますし、60過ぎの団塊世代の就農に頼れば、10-20年後にまた問題が生じるはずです。

  新しい首相には、ぜひ、10人の農家を生き延びさせるためにではなく、一人の将来も持続して農業を経営してゆける組織なり、農家を育てるためにお金を使っていただきたい。 間違っても、民主党のような短期的な票集めのための政治戦術のために国税を浪費していただきたくない、と考えます。
  間違っても、「生きがい農業」だとか、「環境保全農業」だとか、収入の少ないことを隠す為の「美しいメッセージ」で現実を覆い隠すことなく、生業としての農業が普通の生活を送るのに充分に足る状況を作ることを考えてほしいと考えます。

2007年8月28日火曜日

新しい農水大臣

昨日の就任会見の内容では、どのようにしてゆくのかよく分りませんでしたが、総務大臣を含め多くの大臣が、「ばらまき政策には戻れない」と言っていましたので、少しは期待できるかもしれません。
少々残酷な言い方かもしれませんが、自立できない農家を救うために、自立できる農家を犠牲にしてきた(結果として、自立できない兼業農家を大多数にし、若い人の就業意欲まで殺いできたのが、今までの農政だと思っており、農水の官僚のみならず、これに関わってきた短期的な視点しか持っていなかった政治家、圧力団体の責任は大きいと思います)今までの農政と決別して、自立できる農家の育成のために積極的な政策を展開していただけることを期待します。
特に、自給率(昨日は食糧依存率と言っていましたが)がここまで落ちてしまい、それでも「大丈夫」だと思っている一般国民に、危機的な状況と、その打破のための大きなビジョン(エネルギー産業としての農業も含めて)を示していただけることを期待したい。 

2007年8月13日月曜日

安倍首相を信頼できない理由

参議院選挙は予想通りの自民大敗でしたが、その後の行動を見ても、「何故?」が分かっておられない様なので、、、。
 1)具体的な政策と、それを行わなければならない理由の説明が無い
   憲法改正は何故しなければならないのか? (米軍が作ったから? その時日本人が作ったら? 改正したとしたら、どうなるの? 改正してどうしたいの? 等の説明)
 2)言葉だけで、なにかよく分からない
   美しい日本になったら、我々の生活はどうなるの?
 3)都心への集中と格差の拡大に対しての具体策が無い
 4)農業について無関心(個人的に最も軽蔑いている点)
   元々黒い噂の絶えない政治家を大臣にして、その後も、申し訳ないが子供のような議員さんを大臣にして、一体日本の農業をどうしたいのか? 具体的なビジョンも何も見えてこない。 ポストが有るから、誰か置いとかなければならない程度の農水省なのか?と思ってしまう。

「認識している問題は、XXXなので10年でこれをこの様な姿にして行くために、XXを実行して行きます。」といった類の話が納得の出来る形で提示していただければ、少しは違うかもしれません。

2007年7月20日金曜日

営農指導の意味

先週田舎に帰った折に、某県副知事さんと話をしていたら、「営農指導といっても、技術指導しかしていない。 経営指導ってやらないのか?」というしごく当たり前の質問をされました。 確かに、どこでも日本の農業の世界では、「営農指導」=「技術指導」で経営指導をしている所は無いように思います。 (どなたか、経営指導をしておられる所をご存知でしたら、紹介してください。)
農水省の統計資料でも、米作の経費が載っている部分が有り、10a当たりの収入が経営規模別に出ていますが、これは経済的な常識からするとおかしな話のような気がします。 人件費は固定費です。 10aだろうと2000aだろうと、人一人の収入は生活するために必要なコスト(一定)です。
米作での損益分岐点は多分、20ha位のところにあるものと思われますが、米の単作ではなく、冬から春先に「菜の花」とか、冬野菜とか、固定資産、固定費の効率的な利用をもっと考えた、本当の「営農指導」がもっと積極的に行われないと、農業の活性化は出来ないのではないでしょうか? その意味で、先の農水の統計資料では、「農業機械」の減価償却費が経費の20%位をしめていますが、「田植え機」「稲刈り機」など、一年に一度(数日)しか使わない物の為に、こんなにコストが掛かっているのも、おかしな話です。
団塊世代の退職で新規就農を増やす、という政策が、細切れの趣味の農業を増長させ、本来あるべき、生業としての農業を損なわない、ことを願っています。 (60歳定年の人が、それから農業を初めても、20年は出来ない事を考える必要が有ります。 この考え方自身が、パッチワークにしかなっていないし、また、それが細分化された農地を温存させることにもなってしまうので。)

2007年5月30日水曜日

農水大臣の死

農水の林業関連には、何かもっと、もっと在りそうな事件ですね、、、。 熊本でも関係者が自殺しているみたいだし、、、。  「死人に口無し」にならないように、この際徹底的に膿を出して、林業行政が透明化されることが期待されます。
間伐材が放置してある山林が多いけれど、これだって将来的にはバイオエタノールの素ですから、「明日は、また別の今日(tomorrow is another today)」ではなく、この機会に、もっと積極的に一歩を踏み出して、林業にも新しい活気が戻ってくることを期待したいものです。
しかし、「松岡利勝氏以外に農林行政に明るい政治家が居ない」という自民党にも問題がありそうです。あれだけ、地方の農業票に頼ってきていたのに、元林野庁職員がもっとも農業行政に明るい議員だったとは。 (もっとも、専門家とか、農政に明るいの定義が問題で、農水のしきたりを知っている、というのが農政に明るいの定義なら、この際さっさとそのような考え方は捨てたほうが良いのでは? それでないと、いつまでたっても、農業には日が当たらない、、、。)

2007年5月19日土曜日

ふるさと納税

「ふるさと納税」という話が、最近降って沸いてきた様に話題になっていますが、これって、本当に助けになるのだろうか?
どこかの番組で、言いだしっぺ、という知事さんがふんぞり返って、その根拠を話していて、「18歳までに一人1500万掛かり、これが都会へ出て行ってしまうと毎年30億の持ち出しが発生しているから、この補填を要求するのはおかしくない」みたいな事を言っておられましたが、言っている事がおかしい。 そもそも、地元に就職の場が無いから都会へ行かなければならないのであって、就職の場を作れないのは政治の問題だとすれば、自分の力の足りなさを、このような形で、他人に金銭を要求する事によって解決しようとしている事にしかならない。 特にこの知事さんの県が、隣接県より企業誘致を一生懸命やっているとは思えない(というか、何をしているのか、というほど負けている)状況で、このような事を言い出すのは、些か人品が疑われる。 たかりの発想以外の何物でもないですもの。
地方交付税という形で、お小遣い貰って運営されてきている地方自治のあり方が維持されて、幾ら金銭を流しても、所詮は贅沢三昧のどら息子が、後どのくらい生き長らえるのかが変わるだけで、地方の活性化という話には繋がらないのでしょう。 「お小遣い自治」では自治という名の”ままごと”にしかなっていない? 自治の意味をもっと理解するべきだと思います。
地方の政治家は、交付金とか、助成金とかに集るのではなく、自分の足で立って歩ける本当の意味での自治を目指して努力するべきだし、それを阻害するような、国の統制を指摘して排除してゆくべきではないでしょうか?
原発の調査費を拒否して、町長になった人が話題になりましたが、このようなごく当たり前の高潔さが少なくとも必要でしょう、今の政治には。 その上で、どうしても立ち行かなければ、皆で一定期間何らかの助成を考えてあげる事はあっても良いと思いますが、受け取る側は、恥ずかしい、という意識が伴うはずですし、それが人間として当然では?

このような枝葉末節の一時的な金銭の移動を議論するのではなく、国税も含めた税体系全体について、地方自治の独立性を高める議論がなされる事が望まれます。 (少なくとも小遣いの分配をしている人が、力を持っているような錯覚を持つ政治、行政は、早く消えてなくなって欲しい)

2007年5月17日木曜日

クローズアップ現代(5月16日)

飼料用やバイオエタノール用としての稲作をやっている農家が既に存在していて、またそれに助成金が付いているというお話でした。 農水のこの手の話は、「どうして、もっと正々堂々と公にならないのか?」、ちょっと疑問に思ってしまいます。  バイオエタノールを作るのに、日本酒と同じ製造工程で、見たいな話がありましたが、これはちょっとおかしい。 経産省配下では、もっと生産的な技術が試みられているし、実用化に向けての努力もされている、と聴いています。
農家が、農水の餌食になって時代遅れの技術で非生産的な事をして、また、「非効率な、金食い虫の農業」と揶揄されることの無いことを願うばかりです。 エタノール抽出後の残渣はNPKが残っているので、肥料として還元できるはずです。
放送では、国谷女史が「コスト的に割りの合わない国内産のバイオエタノールを消費することの意味」について強い否定口調で言っておられ、それに対する回答はあまり説得力のあるものではなかった(農業を守る、環境を守る)と感じます。 稲藁や雑草のセルロースの分解で更にエタノールが製造できることも言及はされていませんでしたし、将来性ということを考えると、もっと多くの可能性があると思います。 少なくとも、国外依存の状態では、将来の価格が保証されるわけではありませんし、BRICSの経済成長率と、エネルギー消費の増加の影響は、今のコストの話をする前に、十分に精査して考える必要があります。 また、250万町歩をベースに100万町歩の休耕田、という話がありましたが、これは獲らぬ狸の皮算用ですね。 200万町歩をベースに考え、平坦地の規模拡大、コスト削減、中山間地での付加価値の高い稲作の推進と話を二つに分けて考え、消費者に価格の弾力性(選択性)を提示できるような仕組みと、余剰米を有効にエネルギーに転換する枠組みが早期に確立される必要があると考えます。
私の本籍の県がこの話題で出てこないことには非常に残念な思いがありますが、「作らないで金貰うより、飼料用でもー作って金を貰ったほうが良い」という至極真っ当な意見が農家から聞けたことは、大変有意義です。 
真っ当な農家の皆さん、ぜひこれをチャンスにがんばってください。 そして、政治家の皆さん、このような農家の方々のためにもっと真剣に農業のことを考えた政策を提案し、実現していってください(決して、地元に国の金を持ち帰るのがあなた方の仕事ではないと思いますが、、)。

バイオエタノール最前線

という本(ISBN4-769371322)が出ていたので早速購入、読んでみました。
バイオエタノールの生産、流通、貯蔵など、多くの内容を網羅的解説した、中々の本でした。
これを読んで、またgoogleした多くのバイオエタノールの関係の記事から残念なことは、「諸外国の状況」が優先されていて、必ずしも「日の丸技術の確立」的な発想が感じられないことです。 また、NEDO,RITE、農水関連研究機関と、この研究開発、実用化の為の努力が非常に分散され、若干省庁の壁が感じられることです。 (省庁の予算確保と縄張り争いに利用されている?とすれば、国家の足を引っ張る結果になりかねない) 21世紀の基幹技術として、世界に発信できる技術として、もっと国家挙げて一体のものとして研究開発、実用化が促進される事を期待したいところです。 (少なくとも、アジアでのリーダーシップを発揮し続けてゆくためには、このような技術の先進的な開発と、環境対策などは、日本としての重要な技術であるはずで、常に新しいものを創出してゆく必要があるはずです。)
あまり、具体的なビジョンを感じられない安部政権として、何か、こんな将来のある技術で、大きなビジョンと具体的なメルクマークを国民に示して欲しい(単なる、ブッシュの後追いの、エネルギー転換のお話ではなく、、、)。 そうすれば、若い人ももう少し、技術立国日本に誇りと期待が持て、理系離れも抑制出来るのでは?

2007年5月10日木曜日

地方のジレンマ

農業とは直接関係ありませんが、田舎に帰っていてちょっと気が付いたこと、、、。

 よりよい生活を求めて、子供の教育に力を入れる
 結果として、子供は都市圏の一流大学を目指し、うまくゆけばそこを卒業
 卒業して、就職をするとき、それに見合った収入を求めれば、やはり都会で就職するしかない。

 結果として、子供に良い生活を願った親は、田舎で寂しい暮らしをする。

という悪循環をしてしまっているのではないだろうか? と、ふと思うことがあります。

ということは、地方自治で最も重要なことは、「良い就業環境と、良い教育環境を両立して持つ」事しかないのです。  
これだけ、通信インフラが発達していると、東京に本社機能がある意味が薄れてきているはずなのに、どうしてこうも東京に本社機能が集中するのだろうか?  東京で勤めていても、往復に2時間、会社での仕事は殆どがネット上や電話で出来る仕事で、営業の仕事となれば、東京勤めといいながら、殆どが外回りで(極端な例では殆どが地方回り)で、東京に居ることにはあまり意味が無い、ケースが多いように経験上思います。
いっそ、本社スタッフ機能を地方に移転させるドライブをかけたら、どうなるのだろう? たとえば、法人税率の決定裁量を地方が持ったら? きっと、少子化対策にもなるのではないだろうか?

農業の生産性の目標値は?

日本の農業の生産性が低い=より付加価値の高い製品の供給で生きてゆく=>安いものを志向する消費者と、高品質なものを志向する消費者の割合から、より小さな市場で生きてゆく=>安い輸入農産物の品質が上がってゆく=>より高い品質の物を生産販売する=より小さな市場で生きてゆく=>、、、、、。

これでは、一般の工業製品に見られる競争と一緒で、早晩衰退してしまうことを意味しています。
より積極的に、低価格、高品質な農業生産を目指して努力してゆく必要があるのではないでしょうか?
それでは、どの程度の生産性を目指すのか?
  米の生産で言えば、おおよそ中国の10倍、米国の2-3倍と言われていますが、中国の経済成長率を考慮に入れると、いつまでも日本の10分の一で生産できるとは考えにくいので、これは目標値とはなりません(将来、もっと安く生産するところが出てくるかもしれませんし、、)。
  したがって、現在の生産コストを2分の1くらいまでに抑え、更に専業農業生産者の年収が500万円を超える程度のところを目標にした、具体的な政策(ビジョン)を確立する必要があるのではないでしょうか?
この為には、多分;
  1)栽培規模100Ha程度の6-10人程度の農業法人で米を生産する。
  2)農業用水や、集落の下水道等の共同賦役で賄われていた作業を公社などで有料で提供するようにして、農業者の共同賦役をやめる。
  3)農業基盤整備等による、必ずしも必要かどうか疑問のある土木事業を見直す。
  4)少人数で、大規模経営が出来るように、水利等で、長期間に亘り、必要に応じて水が供給できるようなシステムに改める。(一部の地域では、みなが必要な時期には安いが、自分だけが必要なときに供給を受けようとすると、法外な金がかかり、作業の分散が出来ない例がある。)
  5)農地を農業法人に集約しやすいように;
     使わない農業機械で減価償却が終わっていないものの措置を考える(中古市場の活性化?)
     賃借地(農地)からの収入に対する課税について優遇措置を考える。
     
といった政策とその目指す明確なビジョンと具体的な目標が必要なのでしょう。

また、高付加価値商品を作らないと言うことではなく、中山間地等の規模拡大の難しいところでの、減農薬、無農薬などの高付加価値商品の生産の奨励と、平坦地での規模拡大、低コスト生産の両方を同時並行的に進めてゆく必要があるでしょう。 今のような流通主導の高付加価値化を排除して、明確に一般商品と高付加価値商品を市場で分ける必要もあるでしょう。

2007年5月9日水曜日

(日本の)農業は非効率で、他国と競争しても勝てない?の疑問

農水省が出している、栽培規模別の米農家の生産コストの内訳を見ていても、農業機械の減価償却で20%、肥料、農薬などで7-8%となっています。 農地の固定資産税が特別に高いとは思えないし、基本的に固定費(人件費)と農業機械の減価償却などが大きな割合を占めているように思います。
そうなると、結局単位面積当たりの収量を上げることが唯一コスト低減に繋がるわけですが、この30年生産過剰で、育種も品質一辺倒だし、減反奨励で、農地の一部の水稲を刈り取って生産調整をしていたりして、決してコストを下げるような方向性の努力はなされていません。 これは、長期的に大きな問題となる可能性があります。 どの産業も、規模拡大とコスト削減が生き残りの条件になっていますが、農業が例外だと考えるのは、WTOの枠組みでは無理があるのではないでしょうか?
農水は営農集団とか、農事組合、株式会社の参入などで、規模拡大を図ろうとしているようですが、農村における、下水掃除などの共同賦役についても考えた上での政策を採らないと、そんなに簡単にはこのような方向に進むとは考えられません。 霞ヶ関のお役人はあまりにも、農村の現実を知らなさ過ぎる、と思います。  (そもそも、先の生産コストの調査では、労賃が変動費のようにでていますが、これって、3反でも10町歩でも、一人の経費は生活のための経費500万円程度の固定費にしないと、アルバイトが前提の農業になってしまいますよね。)
「たわけ(戯け?、田分け?」とはよく言ったものです。 マッカーサーは、「田分け」だったわけ、、、。

2007年4月19日木曜日

農業は自然を守る?の疑問

一般に緑が見えると「自然はいいなー」みたいな言い方をしますが、若干疑問があります。
多分、自給自足のの生活をしていた時代には、人間の営みも自然の一部として、全体で「自然」と呼んでも良かったのでしょうが、生産物を出荷して収入を得る農業という生業が自然の一部だとは到底思えません。 人口の増加を支えるため、或いは効率を上げて生産するために、集中して資源を投入する農業という生業に、たとえ一時的に景観に緑が多くなっても、自然、或いは自然を守る役割を期待するのは間違いではないでしょうか?
林業における戦後の杉・ヒノキの植林等は、落葉樹の減少により、山の保水機能を低下させ、また熊などの野生動物の食料を奪う結果となりましたー景観的には一年中山が緑に見えますが。 更には、春先の花粉症を引き起こしています。

なにか、間違った農業に対する先入観が農業その物を間違った方向に向かわさせているように思えてなりません(有機農業とか、、)。
自然を守る為に、最小の面積で最大の収穫を得るような農業を展開することこそが、本当の意味での自然環境の維持に繋がるのではないでしょうか。 世界的に見ても、農業に潤沢に水が使える国は日本以外にはあまりありません。 そのような、環境で荒廃した農地が散見されるのは、日本人の世界に対する怠慢ではないかと思います。 食料はお金で買えばよいというものではなく、夫々の国民が、夫々のベストを尽くすべきではないでしょうか?

2007年4月13日金曜日

Happy Feet とバイオエタノール

先日、暇つぶしに娘とHappyFeetを見に行きました。 唯、他にあまり面白い映画をやっていなかった、という理由だけで選んだのですが、環境と資源の問題をペンギンの目から見る、という画面の印象から受けるより遥かに重い内容(?)の映画でした。 ついでに私にとっては音楽はクール!でした。

昨今の農業問題は、特にバイオエタノールが話題になるようになり、人間の搾取の対象が、他の動物たちから、力の弱い仲間の人間にまで広がってゆくことを示唆しているように思われます。 とうもろこしの高騰はは既にメキシコなど、とうもろこしを主食とする人たちの危機感を煽っていますが、早晩、家畜飼料の高騰という形で我々の家計にも影響が出ることになるでしょう。  

作物の子実を使ってバイオエタノールを作るのではなく、今まで廃棄したり償却していた、茎だとか利用されていなかった物を、効率的にエタノールに変換する技術の早期の実用化が望まれます。 コーンストーバーと呼ばれているとうもろこしの茎の微生物分解による、エタノールの生成は既に米国で研究されていますし、水稲については、RITE・ホンダで実証実験の為の研究が行われているようです。 水稲の場合で、10a当りの収量を500Kgとすると、稲藁も500Kg位は取れますので、このセルロースを分解して糖からエタノールにすると150L(環境省のHPによれば30%)のバイオエタノールが生成できることになります。 
150Lx50円=750円/10aでは、何のコッチャ!という感じですが、元々廃棄コストを払っていたり、少なくとも殆ど0円だった筈ですから、、、、。 でも、積極的な推進の理由にはなりませんね、、、。 
(日本の水稲全部では1,600,000Haですから、750円X16MM=9,900MM円、99億円!! 2,400MML、、何か計算違いしているかな?)
そこで、セルロースを分解して糖を作った後の残渣は? 糖も、アルコールもNPKは含んでいませんので、残渣に残っていることになります。 この残渣中のNPKが作物に取り込まれる形で残っているとしたら、この残渣は肥料として使える筈なのですが、、、 このような研究の報告は見たことがありませんが、、、、。
今の所、セルロースの抽出には、強酸、強アルカリ、熱湯などが使われているようで、安全装置とか、投入エネルギーとか考えると、バイオエタノールの製造その物も、多分、割に合わない物になってしまうのでしょう。 しかし、ここが微生物分解のような、投入エネルギーの少ない方法で出来るようになると、話は違ってきます。 今まで目の敵にしていた(駆除することばかり考えていた)、シロアリとか木材腐朽菌等の出番です。 勿論、これらだけではなく、地球上の「掃除屋さん」をしてくれている微生物、昆虫は、この分野での応用を考え、今後さらに研究されてゆく必要があるのでしょうね。

2007年4月4日水曜日

農業って何だ?

何故か、生まれてこの方農家でもないのに農業に関わって生きてきて五十余年、日本の農業政策にはとっても疑問を感じます。 というわけで、自分なりに考えていることを整理しておく事にします。

1)農業は、自然を守る?
  人間が耕作すること自体が既に自然ではないので、農業=自然は間違いでは?

2)農業は(日本の農業は)、国民の食の安全安心を守るためにある?
  確かに、食の安全安心を守ることは農業者の責任として考えるべきことですが、農業は生業であり、まず農業者が自立できる事が肝要ではないでしょうか?

3)(日本の)農業は非効率で、他国と競争しても勝てない?
  規模の小さい農家を維持してゆく政策をとりながら、減反政策で面積当りの収量を減らしたら、唯でさえ効率の悪いところに、益々固定費が上がって、コストが上昇してしまいます。
  そもそも、食糧を輸入に依存することが、世界的な需要バランスから見れば、貧しい国からの搾取に繋がっているという意識を持つべきではないでしょうか?
  G7の国を見ても、殆どの国が輸出国であり、日本のような輸入国ではないことを、もっと真剣に考えるべきではないでしょうか?  非効率で競争力が無い事を肯定するのではなく、それをより競争力のあるものに改善!!してゆく方策をもっと真剣に考えなくてはいけないのでは?

4)日本の農業は高品質なものを高価格で販売すればよい?
   輸入農産物との差別化で、このような方向性で20年以上、国の政策も進められてきたように思います。 しかし、需要と価格をみれば、どのような商品でもピラミッド構造をしており、高品質高価格なものの需要は小さくなってゆきますし、それのみを追求してゆけば、やがて市場のニーズと乖離してしまい、市場を失ってしまいます。
   高い値段の有機農産物があっても良いですが、より安価な、誰でもが買える(買いたくなる)適切な価格の国内生産農産物が十分に供給されている状態が必要なのではないでしょうか?

5)農業が食料の供給だけでは無くなってきた!!
   化石エネルギーと地球温暖化の問題から、最近急速にバイオエタノールが注目されています。 第1次オイルショックの頃、ノーベル賞受賞者のメルビン・カルビンがバイオエタノールの話を講演でしていて、「とんでもない話」だと思ったのを覚えています、だってこっちは毎日の食事にも事欠いていた貧乏学生だったから。 しかし、それが現実の話になってしまいました。
   こうなると、メキシコのタコスにするより、アメリカのガソリンに混ぜるバイオエタノールの方が、収入が多い、といった今までとは違う市場原理が働いて、食料の需要と供給は、今までとは全く違った問題を抱えることになりかねません。 きっと、世界的に見て格差がもっと広がることになるのでは、ないでしょうか、、、。先進国の遊び車を走らせるために、発展途上国の飢餓が酷くなるなんて、創造したくはありません。

6)地球環境の変化
   どの農業国(特に米の輸出で恐れられている、中国、米国、オーストラリア)も現実には、水の供給不安が付きまとっています。 コスト的に見合わなければ、だれも日本向けの米など作りません。 黄河流域の水の汚染と枯渇は、特に中国の農業生産に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
   温暖化で、九州でパイナップルとかバナナが作れるとか、米は北海道が銘柄産地になる、とか、信じられないような話が、10年位で現実のものになるのかもしれません。

と、ちょっと考えただけでも考えられる問題が山のように出てきます。
これから、夫々について(それ以外についても)少しづつ、もう少し詳しく分析してゆきたいと考えています。