2009年5月28日木曜日

北海道のバイオエタノール工場

十勝かどこかに大規模なバイオエタノールの工場が出来たみたいで、年間最大生産量と、投資額が出ていたので、ちょっと「ベイするのかな」と思って計算してみました(DCFとかNPVとか計算しようか、と思ったけどそんな必要はありませんでした)。

年間最大生産量 15Mkl (1.5万Kl) X 100円/l = 1,500MM円(15億円)
    レギュラーガソリンと同じくらいで、リッター100円として計算していますが、
    いくら何でもバイオだからリッター200円というのは許されないと思います。

投資額     5,600MM円(56億円)
人件費(10人) 10 X 8MM円 = 80MM円

原料費と稼働コストを0、金利を0としても
 年間の売上から人件費を引いて 1,500 - 80 = 1,420 MM円
投資の回収には 5,600/1,420 = 3.9 年

まともに資本コストと原材料費を計算に入れると、殆ど回収不能な投資であることが想像出来ます(そのうちNPV計算してみますが)。

初期投資を可能な限り下げて、稼働率を可能な限り上げて、更に輸送コストを如何に下げるか、酷くチャレンジングなビジネスです。 特にセルロース由来の生産は季節変動と稼働率を、どうやって平準化し通年で100%に近い稼働率を達成するのかが、最大の関心事だと思われます(多分、原料から最終製品までの一貫ラインではなくて、2〜3ステップで仕掛かり在庫を持たせて稼働率の平準化を図る必要があるのでしょう)。

2009年5月22日金曜日

バイオエタノール

昨日、某農協の組合長とお話をする機会がありました。  米価が上がらない中、農家収入を上げる方法として、コメ粉、飼料用米、バイオエタノール等、最近農水省や国会でもしきりに言われていますので、まずはその話題で盛り上がりました。
  •  コメ粉は、細粉砕する為の機械(ジェットミル?)が高価なために、中々参入できなかったが、最近やっと機械を購入し、生産販売をしていて、それなりに好調、とのこと。
  •  飼料用米は反収が十分高くもなく、出荷先も無いので、うまくゆかない。
  •  バイオエタノール(米、稲藁)についても、助成金でエタノール工場は作られているが、そのエタノールを消費するところが無く、うまくいっていないらしい(当該農協ではない)。
  •  ついでに、廃油を重油として再利用するモデル地区として助成金を貰っていたところなので、その進捗を聞いたが、当然の事として頓挫、中止? -田舎で家や商店が分散している所で廃油を効率的に集めるのは非常に難しく計画通りに廃油を集める事が出来なかった。

 縦割り行政の弊害や、予算の申請時の査定の甘さから、結局は箱を作って2-3年すると放棄されている、国家事業の一端を垣間見たような気がします。  
 廃油は都会でやるべき話で、バイオエタノールは田舎でやるべき事業(農業の活性化の為にも)だと思いますが、生産されたエタノールの消化先をちゃんと作って、環境、経産、市町村、農協など関係者が一致協力する体制を構築してから予算付けを行う必要があるのではないでしょうか?

2009年5月20日水曜日

OECDの日本農業に関する報告

OECDがなぜ日本の農業政策について審査するのか、その根拠は良く分かりませんが(心情的には「余計なお世話」)、下のような結果となっていたようで、現金飛ばして減反図るより、所得補償にした方がうまくゆく、といった結論の様です。 

しかし、第1次の試算とは言え、農水省の出した報告「コメ価格6割下落も 農水省、減反見直し試算公表」は一体何なのだろう?  少し、乱暴(いい加減過ぎる)な報告のような気がします。 ただ単に政治的に意図する方向へ世論を誘導する為のアドバルーン? そもそも、減反政策を維持する事が利益となる団体とか個人って誰なんだろうか? 農協?政治家?農水省?  

この際、過去の柵に拘らず、ほんとに日本の農業と農家の為になる政策に根本から見直すようにして頂く事を期待します。

 「試算では減反を縮小し、人為的なコメ価格の維持による農家への保護を、所得補償に切り替えた場合、コメ価格は3.9%下がり、生産は2.5%増加。農家 の所得補償に充てる財政支出が約300億円増えるが、価格低下で消費者の効用は約790億円増す。一方、コメ農家は所得補償が価格低下の減収を補うほか、 農地利用の効率化で効用は700億円強増す。」(日経新聞)




2009年5月13日水曜日

小沢臭を取り去れ民主党!!

「民主党の結束が最優先される」という発想そのものがちょっとおかしいように思いますが、、、。
申し訳ないが、小沢さんの持つ古い自民党のイメージは、何を言おうと拭えないものがありますし、鳩山さんからは、中庸過ぎるのか何も政治的な主張が感じられません。

岡田さんで党が割れるのなら、割れて宜しいのでは? どうせ、何れかは割れる運命になるのですから、、、。 無理して一体感を演出して、キャスティングボードを握ったとしても、個別の話になれば割れるのでしょうから、本来無い一体感を演出するのは、迷惑な話です。

2009年5月10日日曜日

米の値段が半分に!

農水の「今、減反助成金を打ちきったら、米の値段は直ぐに半分になる」という研究結果が報道されていますが、今の時期の、この発表は、「事実を正確に述べているのか、それとも何か政治的意図を含んだ物なのか?」いささか困惑します。  減反助成金を貰っている所が全て復田して米を作る、という事を仮定してこの様な計算をしているとしたらちょっとおかしいと思いますし、「儲からないから、農業辞めよう。 それとも、何か米以外の物を作ろう」といった話しには本当にならないのだろうか? 前提とする条件を、よく精査する必要があると思います。

米の卸売価格自体が7〜8千円(1万5千円の半分)になること自体は驚くに値しないでしょうし、そうなっても農業で農家当り1千万円以上の収入を得る事が出来る農業を作るためにしなければならない事、を政治的に具体的な施策で行ってゆかなければならないのが、今の現実であることも事実だとは思いますが、、、。

2009年5月9日土曜日

植物工場、、、

麻生首相が千葉辺りで2ヶ所見学して、「新しい農業の姿」みたいな感想を述べているみたいですが、、、。

自分は農学部農学科園芸学を30数年前に卒業して、その頃から、ファイトトロンを使ったり、植物ホルモンを利用して成長をコントロールしたりしていましたが、当時から「投入エネルギー量に見合う価値の創造」という意味で問題があり、夢として、宇宙空間とかでの可能性はあっても、太陽がサンサンと降り注ぐ地球上で行う意義については見出せませんでした。

ファイトトロンは、蛍光灯を使っていて、その発熱で温度管理に新たなエネルギー(冷房)を必要としていたのですが、LEDとか有機ELでこの問題は解決出きるでしょうし、また植物に必要な波長の光だけをステージに応じて照射することにより、生長を更に促進したりエネルギー効率を上げることは現在の科学技術では可能となっており、古い頭で考えているほど突拍子もない話ではないかもしれません(だから、一部では行われている)。

これが、都心のレストランの消費用に自分のところで作るようなことなら問題はない(輸送コストとスペースや日照の確保)かもしれませんが、田舎にこんな工場を作って何の意味があるのか疑問に思います。 単に、「無農薬栽培」の為? 生産の安定化の為?  生産から消費にいたるまでに投入される総エネルギー量が抑えられるとか、何か社会的な正当性も無く、ただ単に消費者の精神的な安全・安心の為だけのものだとすれば、おおいに疑問を感じます。 

食料・食品の付加価値を高めて、事業として成立させるような方向性は「世界的な食料の供給」の問題から考えれば、日本の「ガラパゴス症候群」の典型であり、考え直すべき方向性だと思うのですが、、、。

こんな話より、アメリカでやっている「海藻をガラス柱で栽培して、ディーゼル燃料を作る」ほうが日本にとってよっぽど役に立つ事業だと思うのですが、、、。

2009年5月8日金曜日

補正予算審議

昨日、今日とNHKの補正予算の審議を見ていますが、全くの省庁丸投げ予算なのですね、、、。 明かに積み上げではない!!

文科省の予算にしても、関係部局から要求もしていないのに、予算がついちゃっている。 昔と何も変わっていない(予算つけられるから、付けておかないと、って誰かが勝手に作っちゃって、予算が通ると後から考えるんですよね。 そして、最初の作文が上手なので、困るんです。 通った後に「できない」とは言えませんのでね)。

国土交通省の「薄皮饅頭」方式は、明かに小泉政権での閣議決定をなし崩しにする為に、官僚が考えた迂回策ですね。 
民主党の人が言っていた、農水の土地を貸した人に最大1万5千円、、、。 農協が音頭をとって、今まで通りに作業はして、1万5千円だけ頂いちゃおう、とか、隣の人と相互に交換したことにして、1万5千円山分けにしちゃおう、、とか、、、。 こんなこと考える人が居るから、世の中おかしくなるんでしょうが、確かに、、、。 どうやって、これを調べるんでしょうね、、、。 (机上で考えて、予算付けるから、こんなことが問題になっちゃう。 そもそも楽して金貰うことを考えるようにした、そういう政策を何十年もやってきた人たちが悪いのでしょうけど。)

しかし、酷い!! 総理大臣は何も考えずに、何もポリシーもなく、お任せ。 国務大臣も官僚にお任せ。 答弁も官僚にお任せ、、、。 もう、いい加減にタイトルだけが欲しい議員さん、大臣さんにはお引き取り頂きたいものです。

民主党に任せてみよう、と思うほど初ではありませんが、この様な自公政権には愛想がつきます。 (政治家を云々よりも、教育を何とかして、天下国家を考える国士的官僚を作る努力をしたほうが早いのかもしれません。 東京大学の教育方針を少し変えるだけで変わる可能性が大かもしれません。 この程度の政治家に何を言ってもしょうがないような気がします)。

民主党も、質疑を聞いている限りでは個々の議員さんは悪くないのに、党首、幹事長、衆議院国対委員長は、何とも信頼に足らない印象を与えてくれるのは、民主党には不幸な事です。

2009年5月5日火曜日

日本農業の再生の為に

もっとあるかもしれませんが、ちょっとまとめてみました。

国民全体の合意を確認しておくべき項目;

  1. 一定の農業生産を国内で維持することは必要な事である。
  2. このままでは日本農業は衰退し、消滅してしまう。
  3. 現状を維持することでは農業は守れない。
  4. 何らかの施策により、農業が自立した産業として家族が安定した生活をすることが可能な職業であることを示す(補助金や政府の施策で生活が左右されるような存在ではないことが必要)。
  5. 農業生産といった場合に、肥料や飼料も含めて考えるべきで、90%以上を輸入に頼るような状況は、成果物を輸入しているのと何ら変わらず、リスクが伴う。
  6. 農業の生産性と余剰成果物の販路の問題は別の問題として考え、生産過剰を栽培面積の抑制により解決することは最後の手段として考える。
  7. 輸出、飼料作物としての利用、工業原料、再生可能エネルギー源としての利用など用途を積極的に開発する努力が必要。


実際に検討すべき事柄;


 1)経営規模の拡大(農家の集約)
  • 後継者の入る大規模経営農家(50Ha以上)への税制優遇
  • 農業からの退出者への対策
    農業に関わる借入金の処理
    農業機械などの処分
     ーー>簿価の残っている資産の買い取り組織と、再販売の市場(輸出を含め)を創設する必要がある
    農地の賃貸借収入への一定期間の減税
  • 大規模農業法人(株式会社?)などの運営に係る法律の整備
  • 経営者の出資者に対する責任
    土地の出資者、資金の出資者、従業員、経営責任者の責任・役割と利益配分などが明示された近代的な定款が必要
  • 財務諸表の整備と開示義務
 2)育種事業の方向性の整備と実施
  • 収量、耐病・耐虫性、耐塩性、耐気候変動性など、本来の育種の目的に戻り、その上で必要であれば品質向上を図る。
  • 5〜10%程度の収量の増加ではなく、2倍程度の収量の増加を目指す(コストを半減化)。
 3)余剰生産物の用途開発
  • 農業生産地域での食品産業の推進
  • 農協組織などの販売活動の推進(少なくとも、農協が購買事業で利益をあげる事を禁止する)
  • 用途開発に対する、助成や税の優遇策等の実施
 4)農業生産地域での就職先の拡充
  • 農業で吸収できない労働力を吸収出来き、更に若年労働者を吸収できる職の誘致の活性化
  • 特に、農業や食品に係る産業を検討すべき(地域の差別化が図れ、他地域との不必要な競争を避けることが出来る)。
  • 離農高齢者の再就職先についても検討する必要がある(単なる、肉体労働者ではなく、生産物の営業や、家庭園芸指導等出来ないだろうか?) ー 離農高齢者の生きがい作りは絶対に必要。
 5)生産性やコストに重点を置いた生産指導体制の確立  
  • 品質や見てくれなどに重点を置いた、週末農家ができるような、現在の予防主体のプログラム防除の推進ではなく、毎日の圃場観察に基づいた防除方法の推進やコンサルテーション (米国の防除コンサルタントのような独立した職業の導入?)
  • 生産に関わる指導体制を充実させ、もっと経営の観点から総合的に指導できる人材と組織の育成
 6)積極的な企業の資本参加を促す
  • 農業は初期コスト(設備投資など)が高く、キャッシュフローが悪い産業で、食品産業以外では一般民間企業としての参入動機は少ないかもしれないが、税制(再利用可能エネルギー生産等の)の面での優遇策をこうじて、できるだけ多くの資本参加を促す。
 7)流通網の再検討
  • 流通業者による偽装や、不適切な価格転嫁等、消費者から見ても、生産者から見ても不透明な現在の流通方式は再検討する必要がある。
  • 大規模レストランチェーン等と農家の個別相対取引も、情報量から生産者が圧倒的に不利になるので、取引条件や価格の透明性を何らかの方法で確保する必要がある(現状では、生産者が弱すぎるし、農水の米市場も価格を示すような大規模な物にはなっていないー価格形成の場となっていない)

2009年5月4日月曜日

ニューオータニの生ゴミ再生

何故か、この連休中にWBSとテレ朝で見ることになりました。 一日6トンの生ごみのコンポスト化を内部で行っているようですが、コンポストにするのに4日かかっているようです。 ということは、設備として24トン分の設備があることになりますね。
水分を飛ばして乾燥し、これを発酵させるプロセスですが、映像を見る限りかなり大規模なものにみえますが、コンポスト1トンを作るのに投入するエネルギー量ってどのくらいになるのでしょうか?
また、生成物はどのように販売しているのでしょうか? 千葉あたりの農家に販売しているのだろうか?
生ごみのコンポストなので、豚などの飼料にも使える筈ですが、「飼料」の名前で販売することは出来ない筈なので、ここら辺もどのように解決しているのか知りたい所です。

このような活動が、活発になることにより、少しでも余分な肥料成分の輸入を抑えることが出来れば、これも国際貢献につながりますし、また日本の環境保全の為にも大変プラスになります。 もっと、多くのアクティビティがあっても良いのではないでしょうか? そして、政府の積極的な関与(減税などの)もあっても良いのではないでしょうか?

自給率の向上

朝のテレ朝の番組で食料自給率の向上の問題をやっていましたが、鳥越さん、「米をもっと食べるようにしないと、解決しない」という発言はちょっと短絡的過ぎませんか? 「米=食糧、食べ物は大切にしなければいけない。食べるためにしか使ってはいけない」という食料が足りなかった時の教えが、何となく生きていて自縛になっているように思います。

コスト低減は、規模拡大は勿論ですが、多収米の育種が必要です。10アールで800Kg~900Kg取れるようになればそれだけで、生産コストが30~40%下がるのですから、、、。 この30年間、品質・食味に偏って、育種の本来の目的(多収、耐病・耐虫、耐天候変化ー>収量の安定)を蔑ろにしてこなかったか不安でなりません。 このような研究は毎年の成果の積み重ねなので、10年も異なる目的(例えば、品質、食味のみの追及)で行っていれば、そのつけは極めて大きいと思います。 作付面積で収量を調整するのではなく、生産物を必要に応じて用途振り分けを行い価格を調整するような事をすべきだったのではないでしょうか?(公正取引という面では問題がある方法ですが)。

長期的に見て、輸出、飼料米、バイオエタノール、米粉など用途開発を積極的に行い、「いくら作っても全てが出荷でき、一定の収入が得られる」状態を作った上で、大規模化をしてゆくことが必要なのではないでしょうか? 少なくとも、用途開発を積極的に行っている事を政府や、農協等は示して農家が安心できるようにすべきなのでしょう。 沢山作ればそれだけ収入が増える、当たり前の状態を作るべきなのです。

米だけでなく、みかんや多くの作物で農政は「生産量を調整する=(結果として)コストを上げる」という失敗を繰り返してきて、結果として農業収入に対する不安感を醸成し農業の衰退を招いて来たと思います。 もっと、販売事業に力点を置き、地方に食品産業を興し、産直を推進し、農業の将来に明るさを取り戻す努力が必要だと思います。