2008年12月18日木曜日

日本農業の危険性(売渡価格が見えない!)

 政府の作った米市場は流通量が少なく、開店休業状態。 業者(外食やスーパーを含め)が農家と相対で価格を決めている状態だと、相対取引の価格実態が全く見えなくなり、これは結果として、生産者に非常に不利な価格交渉を強いることとなります。

そもそも、戦前から有った「農協」、本来の仕事は小規模農家が買い叩かれないように、売渡価格に対する影響力を増すために出来たものだと思います(戦前は米は自由市場ー米相場や神戸の鈴木商店で分かるようにーで取引されていました。 勿論、共済とか、生産技術の共有等も有りますが)。 

 戦中からの統制経済の延長として、戦後も食管制度のもと、生産量も生産価格も政府が決める状況で、農協の役割が「政治力を発揮して生産米価を上げる」事にかわり、規模を利用した資材の調達価格の低減にも影響力を及ぼすことになりました(肥料は成功、農業機械は完全に失敗、農薬は??)。

 しかし、現在では政府が米を買い取ることもなく、価格を決めることも有りません。 この様な状況にあって、農協の役割って何なのでしょうか? 旧態然とした考え方、政治力を発揮して組合員を守る、では成り立ちません。 自分たちの食い扶持の為に自分たちの道を切り開く。 その為には販売価格を、少しでも上げて、販売数量を伸ばして、組合員の収入の増加、安定化を図ることではないのでしょうか?

 多くの農家が、農協離れを起こし、「付き合いで一部の米は農協に回すけど、直接販売が主」という農家が非常に多いように思います。 しかし、先に述べたように、相対取引の価格が見えない所での価格交渉は、個別農家ーそれも規模が大きいとは言えないーにとっては条件が悪すぎます(どんどん価格が下がることになります)。

 農協は、合併農協単位ではなく、管理できる範囲で「ブランド」として、生産管理を徹底し、食に対する安全と品質を強調した一定規模の販売数量を武器として、もっと積極的に販売価格の上昇に力を入れるべきではないでしょうか? その為に、営業マンを雇用することも必要でしょう。  

 資材を値切ることに人件費を使っても、10%も下がらないでしょうし、その人件費をまかなうことで消えてしまいます。 

 生産者価格と消費者価格の間には2倍程度の差は有るはずですが、本当にその価格差に見合う流通業者の役割が担われているのか、産地偽装とか、最近の後を立たない流通業者のモラルに関わる問題を見るにつけ、もっと農協が価格決定力を発揮するよう努力するべきだと思うのですが,,,。

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