2008年9月25日木曜日

石破農水大臣に望む

ま、任期は長くないので、どれだけの事が出来るのかは残念ながら、あまり期待できないのかもしれませんが,,,。
「今のままではダメだ!」に期待して、下のような事をお願いしたい。
 1)農家全員を助けることはもう既に出来ないのだから、それを前提として、日本の農業を自立させる為の長期的な地図を作り、実行して行く。 (例えば、10年後の米の面積は2百万Haで食用が2/3、残りは備蓄、輸出、その他用、で米作農家は5万農家以下。単価は60Kg5000円程度とする、、、とか)
 2)これに伴う、農業所得者の失業の問題(地方の雇用の問題)や、土地集約を可能とする税制の調整(所有と使用を分離して、所有者の税負担を軽減するのか? 他の方法を取るのか?)の、少なくても方向性の確率
 3)自由経済下での健全な農業の発展の為の流通の情報基盤の整備確立
   今、どこの市場で幾らで売れていて、どこの市場に出荷すると最も収益が上げられるのか、といった当然の情報が提供されておらず、殆どが、戦後の配給制度下の政府の買い上げが前提のシステムから進歩しているとは思えない状態なのが、産地偽装とか、生産者の意欲を削ぐような不祥事の根源となっていると思う。
   法律の整備や取り締まりの強化よりも、情報基盤の整備による流通の透明化をまずやってほしい。
 3')生産者の立場から見れば、各県でバラバラと発表されている病虫害の発生予察情報等、自分の県の中だけを見るよりも、全国を俯瞰してみた方が実際の作業上より効率の良い情報が多くあり、この様な生産者への情報提供の面でもモッと工夫すべきだと思う。

 短い任期かもしれないが、若く斬新なアイデアを農業政策に反映させ、日本農業の再生の第一歩を踏み出すきっかけを作ってほしい。

2008年9月19日金曜日

産地偽装、事故米の流通

といった、一連の農水省絡みの問題は本質的に流通の透明性を確保する努力をして来なかった事が根底に有るように思います。
ただ単に「市場に任せるために、規制をすべて取っ払う」といった小泉イズムが助長してしまった問題の最たる物かもしれません。 今回の事故米の話でも、ルーツは「闇米」の流通ネットワークで、自由化により、公認された流通組織として表に出てきただけだ、と言う話も有ります。

有機、無農薬、、、、といった高付加価値の商品も、かなりの物が流通ででっち上げられた物で、苦労してホントに作った農家にはほとんど還元されない、といった状況も結局は流通と価格の透明性が確保されていないからだと思います。 

常に、農家の売渡価格、市場での卸売価格とブランドが公になっていたら、最終消費者が価格を考えるとき、そのブランドと価格から「ありえない」とか「高すぎる」とか判断も出来るはずです。 結果として、適切な市場価格が形成され、世の中がその流れで動くようになるはずです。
株価のように、農産物(米と主要な野菜果物)の毎日の価格がインターネット等で確認できるオープンな市場が形成されることにより、戦後の焼け跡から綿々と続けられてきた如何わしい不透明な流通も駆逐出来ると思います。 農家だって、輸送費を含めて最高値で売れる市場へ商品を流す判断をすることが可能になり、収入を上げることにも貢献しますし、市場価格の平準化も促進されるはずです。

農業分野で、如何にも遅れていて、色々な問題の温床となっているのは、結局は情報の開示、オープンな情報の流通の遅れなのだと思います。 (この世界には、まだ「お上」が決めたことに従う文化が残っているのかも、、、)

2008年9月16日火曜日

くそビジネス

かれこれ12〜3年前、福岡に駐在していたとき九州農政局に居た斉藤さんと話をしていて、「南九州の畜産廃棄物の処理と、北部九州の合成肥料の投入とを何とかうまく組み合わせて相殺出来るような方法は無いだろうか」見たいな話をしたことがあります。 この話にヒントを得て、社内で新任のAPのマネージャに「畜産廃棄物から肥料を作って農地に戻し循環させるような、バイテクビジネスは出来ないだろうか?」という話をしたら、頭から「俺たちがクソビジネスするのか?!」と言われて没になってしまいました。

メルビン・カルビンの「さとうきびからエタノール」と「畜産廃棄物から肥料」、そして「農産物残渣からも、肥料とエタノール」は、この何十年か、ずっと私の頭のどこかにこびり付いていますが、21世紀になって、やっとその方向にゆっくりと進み始めたみたいです。

世界の人口が増加し、耕作可能面積が漸減している状態で、食料を賄おうとしたら、「農産物の効率的な生産(多収、安定)」と「家畜飼料の効率改善(吸収率を向上させ廃棄物を減らす)」そして更に「廃棄物(畜産、残飯)の飼料・肥料への転換と再利用」を上手に行って行かなければなりません。 家畜飼料の効率改善はデュポンのビル・カークがバイテクの大きな目標として掲げていたものですが,私自身その考え方の素晴らしさに大変感銘を受けました(今,パイオニアハイブレッドがその目標に向かって、邁進しているとは思えませんし、関連の法規などの審査も、遅々として進んでいないみたいですが、、、)。

食物連鎖の最初から最後までを、一つづつステップ毎に精査して、全体として無駄を最小化するためにはどうしたら良いのか、を考えるような学問領域が必要になってきたのかもしれません。  (畜産廃棄物で、窒素やリン酸が多くなりすぎ、水が汚染されるということは、家畜の食べる植物にそれだけの窒素やリン酸が含まれていて、家畜には利用されなかった物が悪さをしている事に過ぎないのですから、これを利用してこなかった、現代人の知恵の足りなさに反省)

最近、畜産廃棄物を通常の方法より極めて短時間に分解して肥料にする「菌のフローラ」を売っている会社がある、という話を聞いたので資料を取り寄せてみました。 高温でも活動できる菌がミソの様ですが、 畜産廃棄物を3日ほどで、熟成肥料として利用可能にする、処理中臭いもしない、と謳っています、、、。

個人的には、明確な理由も無く農薬を敵対視していたり、菌のフローラの詳細が分からなかったりで、資料もあまり科学的ではなく(特許公報のコピーと、何をしたいのか分かりませんが、多くの農薬の分析結果データが付いていました)、対象を有機栽培農業に絞って高く売りたいみたいな印象を受けたので、これ以上の深追いをするのは止めましたが、畜産廃棄物の処理に困っている方で興味があれば、 

 「トヤマNB菌」 
 株式会社インパクト
 石川県金沢市神野東22番地 tel 076-216-5528 fax 076-216-5529

です。 この会社は微生物分解で作った肥料を売っているみたいなので、ここに連絡しても菌の入手ができるかどうかは分かりませんが、連絡すれば対応はしてくれるかもしれません。

2008年9月13日土曜日

事故米の処理

「三笠フーズはどうしようもない会社だ!」 というのは確かですが、どうも農水省も事故米の処理の必要に迫られ一枚関わっていた?或いは知っていたけど見逃していたのではないか?と思えてきました。  
あれだけ細かいことでも業界を呼びつけて対応を迫るのに、自分の責任が問われそうな事には、「実害はない、、、、」。 また、大臣が「うるさい消費者」に近い発言もして、「やっぱり、この人はホントに分かっていない、情けないオッサンなんだ」と思わせます。 
実害は無いのは当たり前でしょ! 農薬の毒性は、「一生涯食べつづけた場合の影響を動物実験から推測して、更にその安全と思われる値に百分の一を掛けた数値」なのですから、一時的に基準値を越えた値を摂取しても、急性毒性のレベルを越えなければ、基本的に、安全なのは当たり前なのです。 これは、約束事なのですから、その約束事を守らないことが問題なのですし、約束事を守らせる事を使命とするお役所がそれをして来なかった(これなかった)ことが問題なのではないでしょうか? 絶対に起こってはいけない(工業用途の物が食用に転用される)事が起こったことが問題なのだし、チェックをしていながら、見逃した(?)事が問題なのではないでしょうか? お役所(行政)に対する不信感その物なのです。  

それにしても、「二度と起こらないように全量廃棄」というのも、「お前ら誰の金使ってんだよ!」て言いたくなるほど、自分たちの組織を守ることしか考えていないように思えます。 1キロ10円程度で工業用途として販売しているのなら、なぜその価格で全量、バイオエタノールの原料として販売する事を考えないのでしょうか? (収率30%程度ですので、リットル5〜60円で出来ることになる)。 米からのバイオエタノールは、まだまだ課題が多く実用的な生産には試行錯誤が必要ですが、もう実験室レベルでコセコセと実験をする段階でもないはずです。 リスクを抑えて色々な実験プラントでの稼働実験が必要な段階に来ていると思うのですが,,,。

事故米を安全に処理して、尚且つ21世紀の新しいエネルギー開発に寄与する、そんな発想を何故お役人は思いつけないのでしょうか?

そうだ、回収された焼酎他お酒も、機能膜で濃縮してバイオエタノールにする事にすれば、無駄に捨てること無く、回収された物に少しでもお金を払う根拠が出来るのではないでしょうか。 大体このままったら、回収された商品で百億円規模の補償になるのでしょうが、誰がどうやって責任持つんだろう、、、。

2008年9月9日火曜日

地方の財政悪化は地方だけの所為?

地方の財政が酷い状態になっているのは事実で、上から降りてくるお金を使う感覚が、取り留めもない財政悪化をもたらしている、というのも事実の一面ではあると思います。 しかし、これ以外に国の事業とされている物が、地方の財政を悪化させており、市町村は、この上からの殆ど強制的なお召し上げには逆らうことが出来ない、という事実に気がつかされたので後学の為にメモしておきます。
国のプロジェクトは、国XX%、県X%、市町村X%、受益者X%等と設定された、長期にわたるプロジェクトの場合があります。 しかし、私の田舎での最近の経験では、農業用水パイプライン化の10ヶ年プロジェクトの開始3年め位で、既に予算規模が3倍に膨らんでいて、これに対して「受益者としての合意の確認書を返送してくれ」との文書が送られてきました。 その理由として、資材の高騰、宅地化が進み地下化が必要等々の説明がありましたが、10年かけたプロジェクトで、その間の都市化による受益者の減少のリスク見積りはなされていませんでした。 また、当初計画の3倍近い経費が見積もられていながら、当初の計画通り遂行しようというのは、享受出来るメリットが当初の1/3になることから、どう考えても理にかなわず、計画その物の見直しが必要と思われたので、私は反対の意を込めて、合意文書は送付しませんでした。  しかし、これは市町村や県では簡単には出来ることではありません。 結果として、限られた予算の中で、当初の計画の2〜3倍の出費を既に了解されている既定の出費として召し上げられ、その結果、教育費とか市町村独自の予算を削って賄うことになってしまいます。
業界団体の委員をしていたときも,「容器リサイクル法関連で予算を確保したから、使途を考えろ! 民間団体の出費は50%」と突然言ってきて、「我々として、直接的に有効に利用する事は出来ないと思う(使っている容器その物を作っているわけでは無いので)」という消極的な対応をしようとしたら、「世の中の動きに、反対するような行動を業界としてするのか? 何か考えろ!」で無理やり、メーカからも50%出さされて、財団法人が窓口で、別にしなくてもよい調査に5000万円程の税金が使われたのを覚えていますが、税金はこうやって、役所の予算獲得競争の果ての無駄の積み重ねで浪費されるのだ、とつくづく思いました。

市町村の財政が疲弊しているのは必ずしも、市町村だけの問題ではないことを指摘しておきたいと思います

国のプロジェクトと言われている物が、実は受益者も負担すべきと言う口実の元に、県や市町村にも負担金を求めている物であり、予算規模の大きさが、その省庁のランクを象徴していることと、複数の出資者が居ることにより、期中の見直しができ難くなったり、プロジェクトに対する責任の所在が曖昧になってしまうことから、この様な方法は即刻止めるべきでしょう。 少なくとも、当初予算を30%以上越えることが確実になったら、プロジェクトを見直す、といった予算のシーリングをするべきではないでしょうか? 市町村によっては、この様な国がかりのプロジェクトがクレジット会社の請求のように溜まっていて、自分で使えるお金は殆ど無いような、多重債務状態の所もあるのではないでしょうか? 
 その場合,
   国のプロジェクトに尻尾を振った市町村が悪いのでしょうか? 
  それとも、
   貧しい市町村を食い物に、自分の予算規模を膨らますことに血道を上げた、中央官庁が悪いのだろうか?


どう思います?

2008年9月8日月曜日

米にアセタミプリド?

へー、使っている所が有るんですねー。
散布なんでしょうね、、、。 ネオニコとしては効果も残効も強くないという認識なので、意外ですが、、、。 まさかメイチュウには使っていないですよね、、、。

しかし、人様の安全など全く顧みないとんでもない企業ですね「三笠フーズ」って。 また、毎年査察に入っても分からなかった農水の検査の実態が、ねーねーの形式的なものだということもバレてしまった? 
農水の担当も、この会社も同罪ですね。 打ち首じゃ!!

2008年9月7日日曜日

アメリカの大統領選挙

日本の農業問題とは関係ありませんが、アメリカの本質的な問題が浮き彫りになっているようで、面白いしその結果が我々の生活に影響を与えることになるので,,,。

1)アメリカは言われているほど進歩的でも自由でもない
 論理的には、人種差別や性差別は存在してはいけない事を皆理解していて、それを守って行こうと努力している社会であることは認めます。 しかし、「黒人」や「女性」に対して投票をしたくない(心情的に大統領や副大統領になってほしくない)と思っている人達が、我々が想像する以上に多く存在し、それらの人がこれから、「投票しない為の大義名分」を其々の候補のディベートや演説から探してくることになるのでしょう。 そこは論理ではなくて、生活信条(気持ち)?

2)移民の国で高々2百数十年の歴史しかない
 アーミッシュだけではなく、非常に古い生活習慣を頑なに守っている人達がたくさんいるのです。2億の人達が、色々な宗教と生活理念を持って移り住んできた国なのですから,当然なのかもしれませんが。 外国の日系人社会に、日本より日本的な習慣や文化が残っている事に気がつかされる事がありますが、多分それと同じようなことがヨーロッパ文化や他の文化でも起こっているのでしょう。

共和党の失敗?
 ペイリンは、演説を聞く限り非常に挑発的、攻撃的な印象を受け、これだけでも反感を持つ人がいるのではないかと思います(私もその一人)。 また、共和党の保守に属していて、マケインよりも右寄り、ということになると、「言うこと聞かなければ、攻撃!」と言うことも起こりうる(北朝鮮武力攻撃?)のではないでしょうか、、、。
 これでは、オバマを嫌ってマケインに向かっていた民主党の票(黒人大統領に違和感のある人たち?)を取り込むことが出来なくなってしまうのでは? 女性という理由以外に、否定する正当な理由が出来てしまったのではないだろうか?

これからの2ヶ月は、4人の候補者がどれだけ如才なく演説やディベートをこなしてゆけるのか、それらの演説やディベートが、心情的なバリアーを壊すに足るものか、といった所が焦点になるのではないでしょうか? いずれにせよ、極端な攻撃的は発言は決してプラスには働かないでしょう。 ペイリンは、うまくこなせるのか、大きな?

2008年9月6日土曜日

農水省は舐められている?

産地偽装がまだ続いている中、今度は用途を誤魔化して輸入米で荒稼ぎの「三笠フーズ」。
XXフーズという会社の名前にもかかわらず、「でんぷん糊」用として購入できる事自体がおかしいのですが、、、。
そもそも、法律体系が「性善説」に基づいて作られているために、「法律は作るが、作っても検査体制もなければ、検査もしない。文書だけの取り締まり規則」が沢山存在するのです。 自己申告しないと違反行為そのものを判定することが出来ないような事を法律として定めていたりしています。 (農水関連だけではないと思いますが、少なくとも知っている範囲で農水の関わる部分には、この類が結構あります)。

一度、法律の棚卸をして、「定期的に検査をして、確認していないような事を規制している法律は廃止する。 その上で,必要な規制は新たに法律を定め、その検査体制も同時に完備する。」といったような事をしたらどうでしょうか?


これで、「人をバカにしたような不正は起こりにくなるでしょうし、事務方のお役人さんも仕事が大幅に減るでしょうから、公務員を半減させることもできるでしょう。 そして、検査体制を充実するために、その人達は、検査に関わる機関の事務方として再雇用されることでしょう。 勿論、霞ヶ関でふんぞり返っていた時のような給料や待遇は望めないかもしれませんが」
少なくとも、何か問題が起こると、それに対応する法律を作って「一件落着」といった、お役所の責任逃れの為みたいな、仕事の仕組みは見直して欲しいものです。 実態の無い規制とか法律が多過ぎます。 食に関わる最近の多くの問題の本質は、ここにあるのだと思います。 それと、もっと本質的に、残念ながら「恥の文化」の日本人が、嘘をつくことを「悪いと思わなくなっている」という根元的な問題があると思います。 これは教育の問題ですが、大分県の問題を見ていれば、「嘘をついたら死刑」とでもしない限り、この文化は取り返せないような悲惨な思いがします。