2007年4月19日木曜日

農業は自然を守る?の疑問

一般に緑が見えると「自然はいいなー」みたいな言い方をしますが、若干疑問があります。
多分、自給自足のの生活をしていた時代には、人間の営みも自然の一部として、全体で「自然」と呼んでも良かったのでしょうが、生産物を出荷して収入を得る農業という生業が自然の一部だとは到底思えません。 人口の増加を支えるため、或いは効率を上げて生産するために、集中して資源を投入する農業という生業に、たとえ一時的に景観に緑が多くなっても、自然、或いは自然を守る役割を期待するのは間違いではないでしょうか?
林業における戦後の杉・ヒノキの植林等は、落葉樹の減少により、山の保水機能を低下させ、また熊などの野生動物の食料を奪う結果となりましたー景観的には一年中山が緑に見えますが。 更には、春先の花粉症を引き起こしています。

なにか、間違った農業に対する先入観が農業その物を間違った方向に向かわさせているように思えてなりません(有機農業とか、、)。
自然を守る為に、最小の面積で最大の収穫を得るような農業を展開することこそが、本当の意味での自然環境の維持に繋がるのではないでしょうか。 世界的に見ても、農業に潤沢に水が使える国は日本以外にはあまりありません。 そのような、環境で荒廃した農地が散見されるのは、日本人の世界に対する怠慢ではないかと思います。 食料はお金で買えばよいというものではなく、夫々の国民が、夫々のベストを尽くすべきではないでしょうか?

2007年4月13日金曜日

Happy Feet とバイオエタノール

先日、暇つぶしに娘とHappyFeetを見に行きました。 唯、他にあまり面白い映画をやっていなかった、という理由だけで選んだのですが、環境と資源の問題をペンギンの目から見る、という画面の印象から受けるより遥かに重い内容(?)の映画でした。 ついでに私にとっては音楽はクール!でした。

昨今の農業問題は、特にバイオエタノールが話題になるようになり、人間の搾取の対象が、他の動物たちから、力の弱い仲間の人間にまで広がってゆくことを示唆しているように思われます。 とうもろこしの高騰はは既にメキシコなど、とうもろこしを主食とする人たちの危機感を煽っていますが、早晩、家畜飼料の高騰という形で我々の家計にも影響が出ることになるでしょう。  

作物の子実を使ってバイオエタノールを作るのではなく、今まで廃棄したり償却していた、茎だとか利用されていなかった物を、効率的にエタノールに変換する技術の早期の実用化が望まれます。 コーンストーバーと呼ばれているとうもろこしの茎の微生物分解による、エタノールの生成は既に米国で研究されていますし、水稲については、RITE・ホンダで実証実験の為の研究が行われているようです。 水稲の場合で、10a当りの収量を500Kgとすると、稲藁も500Kg位は取れますので、このセルロースを分解して糖からエタノールにすると150L(環境省のHPによれば30%)のバイオエタノールが生成できることになります。 
150Lx50円=750円/10aでは、何のコッチャ!という感じですが、元々廃棄コストを払っていたり、少なくとも殆ど0円だった筈ですから、、、、。 でも、積極的な推進の理由にはなりませんね、、、。 
(日本の水稲全部では1,600,000Haですから、750円X16MM=9,900MM円、99億円!! 2,400MML、、何か計算違いしているかな?)
そこで、セルロースを分解して糖を作った後の残渣は? 糖も、アルコールもNPKは含んでいませんので、残渣に残っていることになります。 この残渣中のNPKが作物に取り込まれる形で残っているとしたら、この残渣は肥料として使える筈なのですが、、、 このような研究の報告は見たことがありませんが、、、、。
今の所、セルロースの抽出には、強酸、強アルカリ、熱湯などが使われているようで、安全装置とか、投入エネルギーとか考えると、バイオエタノールの製造その物も、多分、割に合わない物になってしまうのでしょう。 しかし、ここが微生物分解のような、投入エネルギーの少ない方法で出来るようになると、話は違ってきます。 今まで目の敵にしていた(駆除することばかり考えていた)、シロアリとか木材腐朽菌等の出番です。 勿論、これらだけではなく、地球上の「掃除屋さん」をしてくれている微生物、昆虫は、この分野での応用を考え、今後さらに研究されてゆく必要があるのでしょうね。

2007年4月4日水曜日

農業って何だ?

何故か、生まれてこの方農家でもないのに農業に関わって生きてきて五十余年、日本の農業政策にはとっても疑問を感じます。 というわけで、自分なりに考えていることを整理しておく事にします。

1)農業は、自然を守る?
  人間が耕作すること自体が既に自然ではないので、農業=自然は間違いでは?

2)農業は(日本の農業は)、国民の食の安全安心を守るためにある?
  確かに、食の安全安心を守ることは農業者の責任として考えるべきことですが、農業は生業であり、まず農業者が自立できる事が肝要ではないでしょうか?

3)(日本の)農業は非効率で、他国と競争しても勝てない?
  規模の小さい農家を維持してゆく政策をとりながら、減反政策で面積当りの収量を減らしたら、唯でさえ効率の悪いところに、益々固定費が上がって、コストが上昇してしまいます。
  そもそも、食糧を輸入に依存することが、世界的な需要バランスから見れば、貧しい国からの搾取に繋がっているという意識を持つべきではないでしょうか?
  G7の国を見ても、殆どの国が輸出国であり、日本のような輸入国ではないことを、もっと真剣に考えるべきではないでしょうか?  非効率で競争力が無い事を肯定するのではなく、それをより競争力のあるものに改善!!してゆく方策をもっと真剣に考えなくてはいけないのでは?

4)日本の農業は高品質なものを高価格で販売すればよい?
   輸入農産物との差別化で、このような方向性で20年以上、国の政策も進められてきたように思います。 しかし、需要と価格をみれば、どのような商品でもピラミッド構造をしており、高品質高価格なものの需要は小さくなってゆきますし、それのみを追求してゆけば、やがて市場のニーズと乖離してしまい、市場を失ってしまいます。
   高い値段の有機農産物があっても良いですが、より安価な、誰でもが買える(買いたくなる)適切な価格の国内生産農産物が十分に供給されている状態が必要なのではないでしょうか?

5)農業が食料の供給だけでは無くなってきた!!
   化石エネルギーと地球温暖化の問題から、最近急速にバイオエタノールが注目されています。 第1次オイルショックの頃、ノーベル賞受賞者のメルビン・カルビンがバイオエタノールの話を講演でしていて、「とんでもない話」だと思ったのを覚えています、だってこっちは毎日の食事にも事欠いていた貧乏学生だったから。 しかし、それが現実の話になってしまいました。
   こうなると、メキシコのタコスにするより、アメリカのガソリンに混ぜるバイオエタノールの方が、収入が多い、といった今までとは違う市場原理が働いて、食料の需要と供給は、今までとは全く違った問題を抱えることになりかねません。 きっと、世界的に見て格差がもっと広がることになるのでは、ないでしょうか、、、。先進国の遊び車を走らせるために、発展途上国の飢餓が酷くなるなんて、創造したくはありません。

6)地球環境の変化
   どの農業国(特に米の輸出で恐れられている、中国、米国、オーストラリア)も現実には、水の供給不安が付きまとっています。 コスト的に見合わなければ、だれも日本向けの米など作りません。 黄河流域の水の汚染と枯渇は、特に中国の農業生産に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
   温暖化で、九州でパイナップルとかバナナが作れるとか、米は北海道が銘柄産地になる、とか、信じられないような話が、10年位で現実のものになるのかもしれません。

と、ちょっと考えただけでも考えられる問題が山のように出てきます。
これから、夫々について(それ以外についても)少しづつ、もう少し詳しく分析してゆきたいと考えています。